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大腸という複雑な走行をする管の中に内視鏡という装置を入れて検査をすることは決して簡単なことではありません。しかも、苦痛を与えずに安全に検査を行おうとすれば、それを実施する医師に求められる経験と技量はかなり高度なものとなります。
実際、日本では2万件の大腸検査に1件の割合で穿孔という腸に穴が開く事故が起こっているといわれています。したがって、何の症状もない人が検査を受けるべきなのかということに関しては多少の疑問もないわけではありません。したがって、もっと安全で楽に受けられる検査があればと考えるのは自然のことだと思います。
CT検査を受けたことはありますか?もともとは頭の中で出血や梗塞がないかを調べることに使われることが多かったのです。そのCT検査はどんどん進化し、腹部の検査はもとより、心臓の検査にまで使われるようになってきました。狭心症の診断は、以前であれば冠動脈造影が必須でしたが、現在ではCTで冠動脈(心臓の表面にある栄養血管)を立体的に映し出すことができるようになってきました。
そのCT検査で、大腸の表面を立体的に映し出すことができつつあります。まだ、一般的な検査になるには時間がかかるとは思いますが、近い将来には、便潜血反応陽性となったら、最初にCT検査を受け、ポリープが疑われれば大腸内視鏡検査を受けるというように変わっていくかもしれません。
しかし、ここで注意しなければならないのは、CTによる放射線被爆の問題です。胸部CT検査の場合にも、肺癌の早期発見のためには一番有用であることは明らかなのですが、一般の胸部写真の100倍以上の被爆になるため、年に1回の定期検査としては推奨されていないのです。したがって、大腸検査の場合にも、CT検査による被爆の問題があり、少なくとも年に1回の定期検査としては問題がありそうです。
癌の診断のために最近行われることが多くなってきた検査として、PET(ペットとよびます)があります。この検査は、癌細胞が一般の細胞よりも糖を多く取り込むという性質を利用し、あらかじめアイソトープという放射線を出す物質を使って糖を作り、それを注射して写真を撮るというものです。当初は、癌があれば必ず写ってくると言われていたのですが、胃癌や大腸癌は写ってこないことも多いため、将来的にもあまり期待はできません。
検査は、なるべく安全に、そしてなるべく正確なものでなくてはなりません。そのためにも、カプセル内視鏡を含めた内視鏡技術、CTなどの放射線を使った検査技術、MRIという磁力を使った検査などが進化していかなければいけないのでしょう。
日本において、大腸癌は最近ものすごく増えており、最近では癌で亡くなる女性で一番多いのは大腸癌だということを皆さんはご存知でしょうか。
大腸癌の多くは癌になる前のポリープの状態が10年以上あり、大きく成長しながら癌化していくと考えられています。したがって、癌になる前のポリープの状態で切除しておけば癌になることを防ぐことができるのです。大腸内視鏡検査は100%安全な検査ではありませんが、熟練した内視鏡医が行えば、ほとんど合併症は起こりません。そのことを是非皆様に知っていただき、定期的な内視鏡検査を受けていただきたいと思います。
大腸内視鏡検査は症状がなくとも受けるべき検査です。特に2親等以内(祖父母、両親、叔父叔母、兄弟姉妹)に大腸癌になった人がいる方は40歳になったら大腸内視鏡検査を受けてください。それ以外の方でも50歳になったらお受けいただいた方がよろしいと思います。ポリープ等が見つかった方は一年後に再検査、異常なかった方は一年ないし二年に一度の定期検査を受けて頂ければ、大腸癌に命を奪われることはないと思います。
私のクリニックでは昨年一年間に約3,400人の方が内視鏡検査をお受けになりました。大腸検査はその中で約1,400人です。年々その数が増えていることは事実ではありますが、当院をご利用いただいたことのある患者さんの中でも、まだ一度も内視鏡検査、特に大腸検査を受けていない方が多くいらっしゃいます。湘南地区からは大腸癌で亡くなる方がいなくなる日を目指して、当院では今後ますます内視鏡検査力をいれていきたいと考えております。そのためにも、私以上に腕の良い内視鏡医のご協力を頂いておりますので、私の検査にこだわらずお受けいただきたいと思います。
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超音波、CT、MRI,内視鏡、それぞれの検査の特性を生かして、安全に、正確に、診断していきたいと思います。(臨床検査技師 松本 美和子)