胃と大腸、両方とも毎年内視鏡検査を定期的に受けている人も少なくないとは思いますが、そうした人の中にも、内視鏡検査よりももっと楽な検査があればと感じている方もいらっしゃることでしょう。
鎮静薬を使用すれば、内視鏡検査も苦しくなく受けていただくことが出来ます。当クリニックで検査を受けた方のなかで苦しかったという感想をお持ちの方はほとんどいないはずです。
鼻から入れる胃内視鏡検査(経鼻内視鏡検査)のことは、テレビでも取り上げられたのでご存知の方も多いと思います。
鼻から細い内視鏡(従来の内視鏡の約半分の太さ)を入れて食道から十二指腸まで観察するのです。鎮静剤を使用しなくとも喉の反射が起こりにくく、検査中も話をしながら検査を受けられる、というメリットがあると言われています。
私も早速、オリンパスの経鼻内視鏡を借りて、職員で検査の必要性のある人に試してみました。
鼻から物を入れるという恐怖感はあるものの、確かに喉での反射は起こりにくいようです。
しかし、経鼻内視鏡は、視界が狭くて暗いために、通常の内視鏡検査よりも観察しにくいというのが私の感想です。
検査を受けている人が検査中に話しが出来るということも、逆に言えば検査医が検査に集中できないということにもなり、全体の検査の質は下がってしまうのではないかと思います。
マスコミに取り上げられ、その細さが強調され、いいことばかりが報道されているような気がします。
当クリニックで検査を受けた結果、苦しかったという感想をお持ちの方以外には、経鼻内視鏡は今のところお勧めできません。
最近良く話題になるカプセル内視鏡ですが、胃の検査としては現在のところ全く役に立ちません。
カプセル内視鏡は小腸の検査法としては非常に有用であると思います。将来的には、胃の観察も可能なカプセル型内視鏡が開発されるかもしれませんが、まだまだ先になりそうです。
以上お話してきたように、胃の検査は、現在のところ口からの内視鏡検査が一番正確であり、鎮静薬を使うことで苦痛を伴わずに実施することが出来ます。
40歳を過ぎたら毎年検査をお受けになることをお勧めします。
次に大腸の検査についてお話します。大腸検査に関しては、便潜血反応を調べる検査が有名です。
この検査を実施することにより大腸癌で亡くなる方が少なくなったというデータがあり、現在市民検診として日本全国で行われています。
ただし、注意していただきたいのは、大腸癌があっても便潜血反応が陰性になることも少なくないということと、大腸以外の病変、例えば胃癌、胃潰瘍、痔核等でも陽性反応がでるということです。
注腸検査というバリウムを肛門から入れて大腸を写す検査もありますが、ポリープ等の病変が疑われたら内視鏡検査をしなくてはならないため、現在では最初から内視鏡検査をすることが多くなっています。
大腸内視鏡検査は、ご存知のように肛門から内視鏡を入れて大腸を観察するものですが、大腸の走行の複雑さのために、検査を施行する医師に熟練度が要求される検査であり、実際問題として医療事故の多い検査でもあります。
わずか数ミリのポリープを見つけることができますが、逆に熟練した内視鏡医であっても10%くらいの見落としをするというデータもあります。
大腸検査は、挿入法は米国で、観察法は日本で発展・進歩してきているといえると思います。平べったい形の平坦型やくぼんだ形の陥凹(かんおう)型は日本で発見されたものであることは、時々テレビでも放映されているようです。
近年、大腸検査の新しい流れとして、CTを使った検査があります。
CTといえば、頭やお腹を輪切りにしたときの断面像を映し出すものとして開発されました。
しかし、連続で輪切りにした像を立体的に構築することによって、あたかも内視鏡で大腸の内腔を観察しているかのような画像を映し出すことが出来るのです。
2006年ラスベガスで開催された米国消化器病学会でも、大腸検査は最初CTで行い、病変が認められた場合には治療として大腸内視鏡検査をするというような時代になっていくであろうと言っていました。
次回は、この続きをお話しすることにいたします。
コメントの投稿