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寒かった冬も終わりを告げました。この冬、皆さんは風邪を引きませんでしたか?
風邪の症状は様々ですが、その代表は咳という今回のテーマとした症状です。
咳という症状はありふれたものであるため、軽視されがちです。
このことは、一般の人のみならず、医師においても例外ではありません。
咳が少しの間続いている人が、実は手遅れの肺がんであったなどという経験を持つ医師も少なくないと思います。
咳は必ずしも風邪の症状とは限らないのだということを再認識していただきたいと思います。
このことは、最近肺結核が増えているという厚生省の発表以来、
一般的にもより一層認識され、患者さんの方から「咳が続くので結核ではないだろうか」という質問を受けることも多くなりました。
では咳を起こす病気にはどんなものがあるでしょうか。
咳は皆さんも良くご存知のとおり、かぜや気管支炎のときによくみられます。
これは、喉や気管に咳を誘発する場所があり、炎症によってその場所が刺激されることによって咳が出るのです。
咳の仕方だけでは風邪なのか気管支炎を起こしているのかははっきりとは分かりません。
多くの痰を伴っているようであれば急性気管支炎の可能性が高いと思います。
ただし、風邪か急性気管支炎かはあまり重要な問題ではありません。
というのは、治療法が変わらないからです。
急性気管支炎のときには抗生物質を使った方が治りが早いのではないかと思われるかもしれませんね。
米国で行われた調査では、急性気管支炎のときに抗生物質を使用すると、抗生物質を使わなかったときと比べて治りは1日だけ早いということが分かりました。
ただし、抗生物質を使った場合には30%くらいの副作用が出ると報告されています。
あなたならどうしますか?
咳が続くときに心配なのは肺炎を起こしていないかどうかということです。
肺炎を見逃していると命にかかわることもあるからです。
ただし、肺炎の咳と風邪の咳とはなかなか区別できません。
肺炎のときは、発熱が長く続いているとか、食欲が全くないなどの付随する症状が比較的強いことが多いと思います。
胸部X線写真を撮ると分かることが多いのですが、写真では写ってこない肺炎も少なからずありますので注意が必要です。
肺結核の時には咳が長く続くことが多いと言われています。
厚生省は2週間以上続く咳の場合には肺結核を疑って胸部X線写真を撮るよう進めていますが、
実際問題として今年のように風邪症状のあとに咳だけが長く続いているような患者さんが多い場合は困ります。
某大学病院では医師が自分自身の結核に気づかないまま数ヶ月にわたって勤務を続けていたと報道されたこともありましたが、
それだけ結核の診断は難しいということだと思います。
肺癌の時にも咳が出ます。ただし、かなり進んだ状態にならないと咳は出てきません。
喫煙者に多く発生する肺門部の癌の場合には、咳に伴って出てくる痰の中に血液が混ざってくることもあります。
早期肺癌の場合には多くの場合自覚症状がありませんので、特に喫煙者のかたは定期的にヘリカルCTなどによる検査が必要と思います。
薬物によって咳が出ることがあります。
高血圧や心筋梗塞後の薬に咳を誘発させるものがあります。
大切なお薬であることも多く、主治医の先生とよく相談して頂きたいと思います。
非常に簡単に咳を起こす主な原因について書きました。
咳は嫌われますが、実は我々の体を守る自浄効果のひとつであり、無闇にとめない方が良い場合が多いのです。
特に、痰が多く出ている場合には去痰剤を使用し、咳止めは使わない方が良いと思います。
もともと出る必要があって出ている咳も多く、止めることよりもその原因を考える方が大切です。
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