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いきなりタイトルで、「間違っている!」などと書くと、ムッとされる方もいるでしょう。でも、これからの話を聞いていただくと、きっと少しはためになったなと思っていただけるでしょう。
一般的には当たり前と考えられている医学的なことのなかには、もう古くなってしまったことや、明らかに間違っていることなどがたくさんあります。
ここですべてをお伝えすることは不可能ですが、毎日の診療の中でも何回もお話しているようなことを選んでお伝えしたいと思います。
「かぜをひいたら早めにかぜ薬を飲んだほうがよい」 このように考えている人が多いのです。詐欺的なテレビコマーシャルのせいであるとも思います。
“かかったかなと思ったら・・”全く根拠がありません。かぜを治す薬はないのです。
症状が辛ければ薬を使って抑えるということです。市販の総合感冒剤には解熱剤、咳止め、痰切りなど様々な薬剤が混合されています。
したがって、すこしのどが痛いからといって総合感冒剤を使うことは体にとても悪いのです。
かぜ薬の強いアレルギー反応で、毎年多くの人が亡くなっていることをみなさんはご存知でしょうか?かぜをひいたかなと思ったら、おいしいもの食べて、水分を多く摂って早く寝る。
これが一番です。どうしても辛い症状があれば、その症状だけ抑えるような薬を処方しますのでいらしてください。
この他にも…
「かぜをひいたときは抗生物質を飲むと良い」
これも根強く存在する間違えです。かぜの原因はウイルスです。
抗生物質はウイルスには効きません。ではなぜ、かぜで病院・診療所にいくと抗生物質を出されることが多いのでしょうか?
ウイルスによるかぜが発症した後に、二次感染といって細菌(ばい菌)が感染することがあります。
その予防のために抗生物質を投与するとおっしゃる先生がいます。
全く根拠がありません。日本は抗生物質使用が世界でもトップ。
科学的な根拠がなく使う例が多いからです。
「胃の悪いときに牛乳を飲むと胃の粘膜を守ってくれる」
医者でも正しいと信じている人がいます。
米国でも80年代初めまで、胃潰瘍の治療として牛乳を患者に飲ませていたようです。しかし、牛乳を飲んだ後胃酸の分泌が多くなることが分かり、現在では胃潰瘍治療中の人は牛乳を飲まないように指導しています。
私の外来にも、おなかが空くと胃の調子が悪いので牛乳を飲んでいたという人が良く来ます。
飲んだ直後は胃酸が中和されますから症状は軽くなります。
しかしその後胃酸の分泌が増え、粘膜を荒らす結果となるのです。
特に夜寝る前に牛乳を飲むのは胃が悪い人にとっては良くないことですので止めましょう。
それは、一日の中で夜中の胃酸分泌が一番多いのですが、寝る前に牛乳を飲むことにより、その胃酸分泌がよりいっそう多くなり胃の粘膜を荒らすことになるからです。
もちろん、健康で胃腸症状のない人が風呂上りの牛乳を飲むことを止めるつもりは全くありません。
「検診で便潜血反応が陰性なので大腸の病気はない」
大腸内視鏡検査をお勧めすると、このようにおっしゃる方が結構います。
便潜血反応というのは、口から肛門までのどこからでも血液が便に混入すれば陽性になるのです。
ですから、陽性になったからといって大腸がんがあることを示すものではありません。
逆に陰性の場合、大腸がんがあっても陽性になりにくい病変もありますので、大腸がんがないとは言えません。
ましてや、内視鏡治療ができるような大きさの大腸ポリープがないとは絶対に言えないのです。
大腸がんの多くは大腸ポリープ(癌になる前の段階という意味で)が成長してできてきます。
この段階で内視鏡治療すれば開腹手術を受けることなく比較的簡単に処置が終わります。
便潜血反応を否定するわけではありませんが、少なくとも50歳になったら一度は大腸内視鏡検査をお受けいただくことをお勧めします。
「胃にピロリ菌がいると胃がんになる」
雑誌や新聞の極端な記事によって過剰な心配をされている人がいます。確かに、ピロリ菌がいる人に胃がんの発生が多いことは事実のようです。
しかし、日本人の約8割がピロリ菌陽性と言われています。
胃がんの発生は千人に数人です。ピロリ菌がいることだけが胃がんの原因ではありえません。
ピロリ菌を殺菌(除菌療法といいます)すれば胃がん発生を予防できるのではないかとも考えられていますが、現在のところはっきりとした予防効果は明らかになっていません。
胃がんは早期に発見すれば、完治することができます。少なくとも年に1回の胃カメラをお勧めします。
一般的に信じられている医学的なことが、実は全然事実と異なっているということが良くあります。
今回はその中のほんの数例を挙げてみましたがいかがでしたでしょうか?
また私たち医療人の側でも、少し前まで正しいと言われていたことが間違いであることが分かったということもあるのです。
新しい考え方や新事実が次々と出てきて、皆さんの治療や指導をするうえでも変えていかなくてはならないことが多く出てきます。
そうした新しいことを常に学びながら日々の診療に励んでいくつもりです。今後ともよろしくお願いいたします。
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